PFC-FD療法(PRP療法)

PFC-FDTM(PRP-FD)療法とは

当院の特徴

PFC-FDTMPRP-FD)療法とは、ご自身の血液中の血小板に含まれる成長因子を特殊な技術で取り出し、患部に注入するバイオセラピーです。この成長因子を利用して、もともと備わる自己治癒力を一時的に高め、組織の修復や炎症抑制、痛みの改善を目指した治療です。保存治療では十分な効果がないが手術を行うのはためらわれる方など、既存の保存治療と外科治療の間を埋め合わせる可能性のある治療として位置づけられます。

   PFC-FD™は、血小板の力を活用する治療法であり、血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したものの商品名・サービス名となります。
「PFC-FD」は、セルソース株式会社がPlatelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryという造語の頭文字から名付けました。

診療方針

血液中の血小板を活用したバイオセラピーには、PRP療法がヨーロッパやアメリカを中心に以前より広く行われています。日本でも整形外科領域の中でスポーツ選手の傷害や関節の痛み対する使用が増えてきており、最近ではみなさんも耳にされる機会が多くなってきていると思います。

PRPとは、Platelet-Rich Plasmaを略した名称です。日本語では多血小板血漿と呼ばれていて、自己血液を遠心分離して得られる血小板が多量に含まれた液体(多血小板血漿)のことを言います。血小板は、血管が損傷した際に集まってきて止血をするのですが、その際に多量の成長因子を放出します。PRP療法とはこの成長因子の作用を利用した治療法です。また、100%自己血液を利用するため、アレルギー反応などの副作用リスクが少ない治療法です。

診療方針

PFC-FDTMは日本語では血小板由来因子濃縮物-フリーズドライ化と呼ばれます。

遠心分離し作製したPRPをさらに活性化させ、血小板に含まれる成長因子だけを抽出、無細胞化した上で濃縮させます。これをフリーズドライ加工することにより、成長因子の総量がPRPの約2倍含まれ、約6か月間の長期保存も可能となっています。

さらに白血球などの炎症を引き起こす細胞成分を除去している為、従来のPRPと比べて治療直後のはれや痛みがより少ないことが期待されます。

PRP-FD療法とは

PFC-FDTMのメリット

  • 組織の修復を促す成長因子がPRP療法の2倍になる事がわかっています。
  • フリーズドライ加工なので、成長因子の濃度が経時的に低下することなく6か月間保管可能です。
  • 自己血液を使用するため、副作用が少なく安全性が高いです。
  • 関節腔内注射のため外来で簡便に行えます。
  • 回数制限はなく何回でも行うことが可能です。

PFC-FDTMのデメリット

  • 自己治癒力を活性化するため、注射後数日は腫れや痛みが出現することがありますが、自然に消失します。
  • 新しい治療で保険適応外の為、治療が高額になります。 自己の成長因子を用いるため、治療効果には個人差があります。
  • 新しい治療のため、まだ完全に確立された治療ではありません。

PFC-FDTM療法の適応

一般的には変形性膝関節症や変形性股関節症、靭帯損傷、テニス肘、アキレス腱付着部症などに対する適応が考えられていますが、当院では主に変形性膝関節症を対象としています。

  • 変形性膝関節症でお悩みの方
  • 関節炎と診断されて、様々な治療を試している方
  • 階段の上り下りで膝に負担がかかる方
  • ひざに違和感があるが、同じ治療法を続けて効果が得られない方
  • スポーツで関節を痛めた方
  • 手術に抵抗感がある方

PFC-FDTM療法の有効性を示す論文は多数発表されてきていますが、現在まだ完全に確立された治療法ではなく、保険外診療で高価な治療になります。そのため変形性膝関節症でも現状の保険内診療での保存治療(リハビリや内服、ヒアルロン酸注射など)で十分効果が得られている方は現状の治療の継続をお勧めします。

また、変形が強い方や下肢のアライメントに問題がある方など、手術療法を考慮された方が良いと思われる方にはPFC-FDTM療法より手術療法をお勧めさせて頂く場合があります。

その他の疾患でもその状態や患者様のご希望など踏まえて判断しますのでご相談下さい。

このような方は、治療をお受けいただけません。

感染症(HIV・HBD・HCV・梅毒・HTLV‐1)を有する方

悪性腫瘍(がん)に罹患している方

血小板機能不全や血小板減少状態の方

免疫抑制剤や抗凝固剤を使用している方   など

治療の流れ

1.問診・診察・検査

問診・診察・検査

まず外来で現在の痛みの程度やこれまでの治療歴、今後のご希望などを伺います。

診察や必要な検査を行い現在の症状や状態を把握し、適応を確認します。

2.採血

採血

1回の注射につき約50mlの採血を行います。

採取した血液を厚生労働省許可の特定細胞加工物製造施設(施設番号:FA3160006)に送り、清潔な環境下で検査・加工します。


  加工に約3週間かかります

3.注射

注射

作成されたご自身のPFC-FDTMが届きましたら治療部位に注入します。
(片膝で6ml相当PFC-FDTMを注入します。)

作成されたPFC-FDTMは約半年間保存が可能ですので、患者様のタイミングで注入することが可能です。

4.注射後

注射当日は運動やマッサージ・入浴・飲酒等はお控えください。

その後、数日間は局所の炎症や痛みが出現することがあるので、無理な負荷は避けてください。治療後は当クリニックで定期経過観察をさせて頂きます。

また、よりよい効果を得るためには患部への適度な負荷が必須であることから、注射後患部の具合に合わせて運動療法・リハビリテーションを行っていくことを強くお勧めします。

PFC-FDTM療法の費用

保険外診療となるため、全額自己負担となります。

※PFC-FDTM療法は、令和6年4月15日から成長因子をより含むPFC-FDTM(2.0)のリリースに伴って、価格改定を行います。

既存のPFC-FDTMと今回リリースされたPFC-FDTM(2.0)2種類の治療法から相談して選択することができます。

◎初期導入価格として、

PFC-FDTM(2.0)

159,500円 (税込)
(採血・検査料 16,500円、加工・治療料 143,000円)

PFC-FDTM

108,900円 (税込)
(採血・検査料 16,500円、加工・治療料 92,400円)

医療費控除を受けることができます。

1年間(1月1日~12月31日まで)に支払った医療費が10万円を超える世帯(生計が同一のご家族)は、確定申告で申告し、還付金を受け取る事が出来ます。制度のご利用を予定されている方は、医療費の支出を証明する書類(領収書など)が必要です。治療費の領収書を発行致しますので大切に保管してください。

おわりに

PRP関連のバイオセラピーにはいくつかの種類がありますが、当院では関節内のバイオセラピーでは現時点でこのPFC-FDTM療法が比較的費用対効果が高いと考えています。また、PFC-FDTM療法は沖縄県内の整形外科では2020年11月時点ではまだ導入施設がなかった為、関節痛の治療に難渋されている方、関節痛でスポーツをあきらめていた方、なんとか手術は回避したい方などの為にKINスポーツ・整形クリニックからより多くの治療の選択肢を沖縄県内に提供できればという思いから、導入を行いました。

KINスポーツ・整形クリニックでお力になれることがありましたら、いつでもご来院・ご相談ください。


※PFC-FDTM、セルフソースの提供する商標です。